さて、薬品繋がりで次に来るのは「重曹」ですね。^^
~身近だけれど、工房でも活躍する白い粉~
キッチンの掃除や、お菓子作りにも使われる「重曹」です。
貴金属制作の現場でも、ちょっとしたところで活躍しています。
重曹とは?
重曹は、炭酸水素ナトリウム( NaHCO₃)
「重炭酸ナトリウム」「重炭酸ソーダ」と呼ばれることもあります。
白い結晶性の粉末で、水に溶かすと弱いアルカリ性を示します。
重曹は酸と反応して、酸を中和する働きをします。
重曹を貴金属制作で使う一番わかりやすい場面が、酸の中和です。
たとえば、ろう付け後の酸洗いに使う希硫酸。
酸洗い液から作品を取り出したあと、作品の表面などに酸が残っていることがあります。
そこで、重曹水を使って酸を中和する方法があります。
(※当教室では、ピックリングコンパウンドの酸洗い液の後は、水洗いしています。)
重曹には軽い研磨作用もあるため、銀製品などの汚れや黒ずみを落とす目的で使われることもあります。
一般家庭で銀製品の黒ずみを取る方法として、
アルミホイル+重曹+お湯
という方法を聞いたことがある人もいるでしょう。
これは、アルミニウムと銀の間で起こる電気化学的な反応を利用して、銀表面の硫化物を取り除く方法です。
ただし、ジュエリーには宝石、いぶし加工、メッキなど、熱や薬品に弱いものもあります。
「銀なら何でもこの方法でOK」とは考えないほうが安全です。
銀をいぶした後にも重曹を使います。
銀を硫黄系のいぶし液に入れると、表面に硫化物の皮膜ができて黒くなります。
好みの色になったところで取り出し、重曹を溶かした水にくぐらせます。
これは、いぶし液の作用を止め、残った薬品を洗い流しやすくするためです。
その後、きれいな水でよく洗います。
重曹を保管するとき
重曹は比較的扱いやすい物質ですが、粉末なので、湿気を避けて密閉して保管するのがおすすめです。
重曹は空気中の水分の影響を受けることがあり、長期間の保管では性質が変化することがあります。
①フタのしっかり閉まる容器に入れる
②湿気の多い場所に置かない
③「重曹」とはっきり表示する
④他の白い粉と同じ容器に入れない
という基本を守っておくと安心です。
特に大切なのが、「何の粉かわからなくなったものは、使わない」ということ。
白い粉は、見た目だけでは区別できないものがたくさんあります。
重曹を捨てるときは?
ここは少し注意が必要です。
「重曹そのもの」と「使い終わった重曹水」は分けて考えます。
未使用の重曹そのものについては、製品のSDSや自治体のルールに従って処分します。
大量の重曹は、下水に流すと塩ビ管を痛めることから、「可燃ごみ」とされる場合も多いようです。
一方、貴金属制作で使った重曹水の場合、
「重曹しか入っていない水」なのか、
「酸を中和するために使った水」なのか、
「金属粉や金属イオンなどが混ざっている」のかによって話が変わります。
特に酸洗い後の液を重曹で中和したものは、重曹水だからそのまま捨ててよい、と考えないほうがいいでしょう。
重曹自体は、現在のSDSではGHS上の危険有害性が該当しない物質として扱われていますが、廃棄については関連法規や自治体の基準に従うよう記載されています。
少量でも排水口に流す場合は、大量の水を流すことが必要とされています。
さらに、金属加工の現場では、液の中に金属成分が含まれている可能性があります。
ですから、「何を入れた液なのか」を確認してから処理することが大切です。
「重曹だから大丈夫」と一括りにせず、使ったものは中身を確認してから処分する。
これが工房では大切です。
身近なものほど、性質を知って使おう
工房にある薬品類。
その一つひとつにちゃんと役割があります。
白い粉を見たら、まず名前を確認する。用途を間違えない。
これも、ものづくりの基本のひとつですね。
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