ロウ付けの際に使う「希硫酸」は、教室ではロウ付け台の壁側に並んでいます。
これらは、ロウ付け後に残ったフラックスや、金属表面の酸化物などを除去するために使用します。
<硫酸を安全に使うための基礎知識>
■硫酸と希硫酸の違い
硫酸は非常に強い酸で、硫酸を水で薄めたものを「希硫酸」と呼びます。
上にも書きましたが、貴金属加工では、酸洗いなどに使われています。
酸に耐性のある容器を使用し、金属製の容器は避けます。
市販のピックリング(=酸洗い)コンパウンドにも、酸性成分を利用したものがあります。
■なぜ硫酸を薄めて使うの?
原液は反応が強すぎるからです。
希釈することで、目的に合った酸性の液として扱いやすくします。
ただし「薄めたから安全」ということではありませんので、注意点をよく読んでください。
硫酸を希釈するときの最大の注意点は、「水に硫酸を少しずつ加える」。
逆に、硫酸の中へ水を入れてはいけません。
濃硫酸は水と混ざると大きく発熱します。
硫酸側に少量の水を入れると、局所的に急激な発熱が起こり、沸騰や飛沫につながる危険があります。
■希硫酸を使うとき
強い酸なので、薄めているにしても強い効果があります。
最大限に注意するならば、
保護メガネを着ける
酸に適した耐薬品手袋を着ける
換気をする
容器に明確に表示する(間違えないように)
金属加工用の液と食品・生活用品を絶対に混同しない
他の薬品を勝手に混ぜない
蓋をして、飛沫が飛ばないように注意しましょう。
■酸洗い液に入れてはいけないもの
鉄製からげ線
スチール製ピンセット
鉄製トング
スチールウール
鉄を含む部品
→ 酸洗い液を汚染し、銀などに銅が付着する原因になる。
銀合金や真鍮などを酸洗いすると、銅の成分が少しずつ液中に移ります。
そこへ鉄が入ることで、液中の銅が銀の表面に付着しやすくなることがあります。
その結果、
「銀を酸洗いしたら、なんだかピンク色・赤っぽくなった!」という現象が起こります。
■酸洗いしてはいけないもの
石やパーツなど、酸に弱い素材や、酸によって処理・表面が変化するもの
→宝石は種類だけでなく、含浸・充填・コーティングなどの処理によっても、酸への耐性が変わります。
メーカーが酸への接触を禁止している素材
→ 素材そのものを傷める可能性があります。
■皮膚や目についたら
まずは、大量の流水で洗ってください。
硫酸のSDSでも、皮膚や眼への付着時は流水による洗浄が示されています。
※SDS(Safety Data Sheet/安全データシート)
SDSは、薬品について
「どんな危険性があるか」「どう扱うか」「保管方法」「応急処置」「廃棄方法」などをまとめた資料です。
■使い終わった希硫酸はどうする?
ここが大切なのですが、未使用の希硫酸と、金属加工に使用したあとの酸洗い廃液は、同じように考えてはいけません。
使用済みの酸洗い液は、事業活動に伴って生じる「廃酸」という産業廃棄物になるということを知っておきましょう。さらに、pHや含有物によっては特別管理産業廃棄物に該当する場合があります。
「廃液=ただ捨てるもの」ではなく、環境を汚染する可能性があるものとして認識しておきましょう。
一般家庭で使用するのは微々たる量でしょうが、
そのまま流さないこと。
使用済みの酸洗い液には、金属成分などが含まれている可能性があります。
「酸だから中和すれば流せる」と単純に考えず、使用した薬品のSDSや自治体のルールを確認し、
適切に処理しましょう。
事業として制作している場合は、廃酸として適正な処理を行う必要があります。
■日本では硫酸は毒劇法上の規制対象
硫酸は、濃度によって法令上の取り扱いが変わります。
硫酸を10%を超えて含む製剤は、毒物及び劇物取締法上の「劇物」に該当します。
当教室では、ピックリングコンパウンドと硫酸の両方を使用していますので、
希硫酸の調製・交換は経営側で管理し、受講生が自由に希釈作業を行わないようにしています。
薬品は「正しく使う」だけでなく、「使い終わった後まで責任を持つ」ことも、ものづくりの大切な仕事です。
※ご自宅で処理されている方は、教室でお尋ねください
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