読む宝石学『色ってなんだろう』(月曜定期便79)

ルビーの赤

サファイアの青

エメラルドの緑

七宝の鮮やかな色

絵の具の美しい色

私たちは毎日のように「色」を見ています。
では、その色はどこから生まれているのでしょうか。

宝石学では、「クロムが入るとルビー、鉄やチタンが入るとサファイア」という話がよく知られています。

純粋な鉱物は無色透明な結晶。
これに微量な元素が混ざることで、結晶に色が発生します。

宝石は自然が作った色。
そのメカニズムを利用して、人工的な処理により色を導くこともあります。
宝石 → 元素と結晶構造、光の相互作用

七宝釉薬の鮮やかな色。
七宝は炎が作る色。
七宝 → 元素を含む釉薬を高温で溶かし、冷えてガラス質になることで色が現れる

絵の具や顔料の色。
絵の具は人が作った色。
顔料 → 元素や化合物が光を反射・吸収して色が見える

色を生み出す主役は元素です。

そして、地球の中では長い時間をかけて結晶となり、七宝では炎によって発色し、絵具では顔料として私たちの手に届きます。

これらは違う世界の色を扱っているようでいて、実は同じ地球の元素と向き合っています。

色は偶然生まれるものではなく、元素が長い時間をかけて作り出した物なのです。

そして…

宝石も、七宝も、絵画も。

地球が生み出した元素の色を、人は昔から工芸や芸術に生かしてきました。
宝石を見る目も、七宝を焼く目も、絵を描く目も。
少しずつつながって見えてくると、ものづくりはもっと楽しくなります。^^

宝石の発色と顔料・釉薬の発色は仕組みが少し違う場合もあるけれど、「同じ元素が色を生み出している」という視点でまとめてみました。(覚える必要はありません。参考まで)

元素 宝石の色・代表例 七宝釉薬ガラス 絵具・顔料
クロム(Cr)ルビー(赤)、エメラルド(緑)緑色の発色酸化クロムグリーン
コバルト(Co)一部のスピネル、合成宝石の青コバルトブルー コバルトブルー
銅(Cu)ターコイズ(青〜青緑)、マラカイト(緑)青、緑、赤(還元焼成) 緑青、マラカイトグリーン
鉄(Fe)アクアマリン(青)、ペリドット(緑)、サファイア(黄〜青)、スモーキークォーツ茶色、黄色、琥珀色黄土(イエローオーカー)、赤土、バーントシェンナなど酸化鉄顔料
マンガン(Mn)ロードクロサイト(桃色)、ロードナイト(桃色)、ピンク系トルマリン 紫〜褐色 マンガンバイオレット
ニッケル(Ni)一部のガーネット、クリソプレーズの緑色への関与灰色系の発色補助ニッケルチタンイエローなど
チタン(Ti) ブルーサファイア(鉄と組み合わせて青色)、スターサファイア(ルチル) 白濁剤として利用 チタンホワイト(酸化チタン)
バナジウム(V) バナジウムベリル、一部のサファイア 緑系の発色 バナジウム顔料(工業用途中心)
ウラン(U)
一部の蛍光鉱物ガラスの黄緑色(現在はほぼ使用されない) 歴史的には使用例あり(現在はほぼ使用されない)
金(Au) 天然では色の原因というより地金金赤釉(コロイド金)カシウス紫(金コロイド)
銀(Ag) 黄色〜琥珀色一部のガラス・特殊顔料

宝石、七宝、絵画。

一見すると別々の世界ですが、色の正体をたどっていくと、同じ元素にたどり着きます。

地球が生み出した元素は、自然の中では宝石となり、人の手に渡ると釉薬や絵具となって、私たちのものづくりを彩ってくれています。

ルビーを見ても、

七宝を焼いていても、

絵を描いていても。

「きれいだな」と思う色の背景には、同じ元素たちが働いています。

宝石学を学ぶことは、宝石だけを知ることではありません。

地球が生み出した色のしくみを知ることでもあるのです。

混合することで色が変になることもあるのですが、
だから私は、宝石も、七宝も、絵画も、同じように面白いと感じています。^^

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