ルビーの赤
サファイアの青
エメラルドの緑
七宝の鮮やかな色
絵の具の美しい色
私たちは毎日のように「色」を見ています。
では、その色はどこから生まれているのでしょうか。
宝石学では、「クロムが入るとルビー、鉄やチタンが入るとサファイア」という話がよく知られています。
純粋な鉱物は無色透明な結晶。
これに微量な元素が混ざることで、結晶に色が発生します。
宝石は自然が作った色。
そのメカニズムを利用して、人工的な処理により色を導くこともあります。
宝石 → 元素と結晶構造、光の相互作用
七宝釉薬の鮮やかな色。
七宝は炎が作る色。
七宝 → 元素を含む釉薬を高温で溶かし、冷えてガラス質になることで色が現れる
絵の具や顔料の色。
絵の具は人が作った色。
顔料 → 元素や化合物が光を反射・吸収して色が見える
色を生み出す主役は元素です。
そして、地球の中では長い時間をかけて結晶となり、七宝では炎によって発色し、絵具では顔料として私たちの手に届きます。
これらは違う世界の色を扱っているようでいて、実は同じ地球の元素と向き合っています。
色は偶然生まれるものではなく、元素が長い時間をかけて作り出した物なのです。
そして…
宝石も、七宝も、絵画も。
地球が生み出した元素の色を、人は昔から工芸や芸術に生かしてきました。
宝石を見る目も、七宝を焼く目も、絵を描く目も。
少しずつつながって見えてくると、ものづくりはもっと楽しくなります。^^
宝石の発色と顔料・釉薬の発色は仕組みが少し違う場合もあるけれど、「同じ元素が色を生み出している」という視点でまとめてみました。(覚える必要はありません。参考まで)
| 元素 | 宝石の色・代表例 | 七宝釉薬 | ガラス 絵具・顔料 |
| クロム(Cr) | ルビー(赤)、エメラルド(緑) | 緑色の発色 | 酸化クロムグリーン |
| コバルト(Co) | 一部のスピネル、合成宝石の青 | コバルトブルー | コバルトブルー |
| 銅(Cu) | ターコイズ(青〜青緑)、マラカイト(緑) | 青、緑、赤(還元焼成) 緑青、 | マラカイトグリーン |
| 鉄(Fe) | アクアマリン(青)、ペリドット(緑)、サファイア(黄〜青)、スモーキークォーツ | 茶色、黄色、琥珀色 | 黄土(イエローオーカー)、赤土、バーントシェンナなど酸化鉄顔料 |
| マンガン(Mn) | ロードクロサイト(桃色)、ロードナイト(桃色)、ピンク系トルマリン | 紫〜褐色 | マンガンバイオレット |
| ニッケル(Ni) | 一部のガーネット、クリソプレーズの緑色への関与 | 灰色系の発色補助 | ニッケルチタンイエローなど |
| チタン(Ti) | ブルーサファイア(鉄と組み合わせて青色)、スターサファイア(ルチル) | 白濁剤として利用 | チタンホワイト(酸化チタン) |
| バナジウム(V) | バナジウムベリル、一部のサファイア | 緑系の発色 | バナジウム顔料(工業用途中心) |
| ウラン(U) | 一部の蛍光鉱物 | ガラスの黄緑色(現在はほぼ使用されない) | 歴史的には使用例あり(現在はほぼ使用されない) |
| 金(Au) | 天然では色の原因というより地金 | 金赤釉(コロイド金) | カシウス紫(金コロイド) |
| 銀(Ag) | 黄色〜琥珀色 | 一部のガラス・特殊顔料 | ― |
宝石、七宝、絵画。
一見すると別々の世界ですが、色の正体をたどっていくと、同じ元素にたどり着きます。
地球が生み出した元素は、自然の中では宝石となり、人の手に渡ると釉薬や絵具となって、私たちのものづくりを彩ってくれています。
ルビーを見ても、
七宝を焼いていても、
絵を描いていても。
「きれいだな」と思う色の背景には、同じ元素たちが働いています。
宝石学を学ぶことは、宝石だけを知ることではありません。
地球が生み出した色のしくみを知ることでもあるのです。
混合することで色が変になることもあるのですが、
だから私は、宝石も、七宝も、絵画も、同じように面白いと感じています。^^
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