読む宝石学『宝石の強さは結晶の育ち方で変わる』月曜定期便78

ダイヤモンドやルビー、サファイアは、透き通った美しさがあります。
一方で、トルコ石やラピスラズリ、翡翠は、美しい色をしていますが、透明ではありません。
この違いは、宝石の種類だけではなく、「結晶のつくり方」にも理由があります。

宝石の中には、一つの結晶が大きく育ったものがあります。
これを単結晶といいます。
一方、小さな結晶がたくさん集まって一つの宝石になったものを多結晶といいます。

単結晶多結晶
ダイヤモンド
ルビー
サファイア
エメラルド
トパーズ
水晶
翡翠
ラピスラズリ
ターコイズ
マラカイト
メノウ
カルセドニー
メノウ
一つの結晶で育つ小さな結晶が集まってできる
透明なものが多い半透明・不透明なものが多い
光がまっすぐ通りやすい光が散乱しやすい
ファセットカットが映えるカボションや彫刻も魅力を生かせる

見た目の違いを例に挙げてみましょう。

水晶とメノウは、どちらも二酸化ケイ素(SiO₂)が主成分です。
違うのは、結晶の育ち方。
一つの結晶として育てば「水晶」。
ごく小さな結晶が集まって育つと「メノウ(縞模様あり)」や「カルセドニー(模様無し)」になります。

カルセドニー(玉髄)は多結晶だけど半透明のものが多い。
メノウも薄い部分は光を通す。

ネフライトも半透明のものがある。
一方で、単結晶でもインクルージョンが多いと透明ではなく見えることがある。

だから、
単結晶には透明な宝石が多く、多結晶には半透明や不透明な宝石が多い傾向があります。

そして翡翠

前回、宝石の硬さの順番を見て頂き、工具との対比を一覧にしてみました。
翡翠はモース硬度がそれほど高くないのに丈夫だとご紹介しましたね。

その理由の一つが、この多結晶構造です。
細かな結晶が複雑に絡み合うことで、衝撃が一か所に集中しにくくなっているのです。

透明感のある宝石は、一つの結晶が美しく育ったものが多くあります。
一方、多結晶の宝石には、柔らかな風合いや独特の模様があります。

宝石の魅力は、透明度だけではありません。
「どのように育った宝石なのか」を知ることで、その石の個性が見えてきます。

ダイヤモンドの透明感も、
翡翠の丈夫さも、
メノウの縞模様も。

それぞれは、地球の中で結晶が育った証です。

宝石を選ぶとき、私たちは色や大きさに目がいきがちです。

でも、「どんな結晶の育ち方をした宝石なのか」を知ると、その石に合ったデザインや留め方も見えてきます。

宝石は、地球が長い時間をかけて育てた自然の結晶です。

その成り立ちを知ることは、宝石をもっと大切に扱うことにもつながります。

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