前回は、宝石の多くが結晶でできていること、そして結晶には7つの結晶系があることをご紹介しました。今回は、その続きです。
宝石には「割れやすい方向」があります。
同じ石でも、力の加わる向きによって割れやすさが変わることがあるのです。
◇ 劈開(へきかい)という性質
結晶の中は、原子が規則正しく並んでいます。
しかし、その結びつきの強さはすべて同じではありません。
比較的弱く結びついている面に沿って割れる性質を「劈開」と呼びます。
◇ ダイヤモンドにも劈開がある
地球上で最も硬い天然物として知られるダイヤモンド。
「硬いなら割れない」と思われがちですが、実はそうではありません。
ダイヤモンドには明瞭な劈開があり、特定の方向から強い衝撃を受けると割れや欠けが生じます。
そのため、研磨や加工の際には結晶の方向を見極めることが重要になります。
◇ 劈開がはっきりした宝石たち
宝石によって劈開の現れ方は異なります。例えば、
ダイヤモンド …… 八面体方向に完全な劈開
トパーズ …… 非常に明瞭な劈開
スポジュメン …… 完全な劈開
ムーンストーン(長石) …… 二方向の劈開
などがあります。
一方で、ガーネットや水晶には明瞭な劈開はなく、割れるときは不規則な断口を示します。
◇ ジュエリー作家にとってなぜ大切?
劈開という性質を知っておくと
石留めをするとき。
修理をするとき。
宝石を選ぶとき。
注意することができます。
宝石には、それぞれ得意な力と苦手な力があるので、
同じ硬度の石でも方向で割れやすさは異なるのです。
宝石の性質を理解することは、宝石を守ることにもつながります。
◇ 知識は石への思いやり
私たちはつい、宝石の色や輝きにだったり、見た目の好みに目を向けがちです。
しかし、その宝石がどのような構造を持ち、どのような力に弱いのかを知ることも大切です。
宝石学は、宝石を見分けるためだけの学問でなく
宝石の個性を理解し、長く美しく使うための知識でもあるのです。
結晶系の方向を学ぶ為には、この短いブログでは説明しきれません。
宝石の本に必ず載っている「結晶の結びつき」の項目に目を通してみましょう。
次回は、「結晶の形と宝石の形」について触れていきます。
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