貴金属制作で使う 鑞(ろう)
現在ではほとんど平仮名で「ろう」と表記されます。
昔の職人さんは、自分でろうを配合して作っていました。
金ろうは、金に銀を混ぜ、さらに銅や亜鉛を加え、目的に合わせて調整していました。
ろう作りも職人の技術のひとつだったのです。
現代のように、インターネットショップもなければ、専門店もない。
そんな時代の職人たちにとって、ろうの配合は企業(工房)秘密。
親方しか知らない。弟子にしか学ばせない。
工房ごとに違うなんてことも多かったことでしょう。
これは道具ではなく技術だったから。
作るものによって必要な融点は異なります。
母材との色合わせも重要で、ろうの流れ方まで考えながら配合していました。
ろうは、接合する金属(母材)より少し低い温度で溶けるように作られています。
だから母材を溶かさずに、ろうだけが溶けて接合できるのです。
母材より少しだけ低い温度で溶けるよう設計されていて、さらには温度差で使い分けたりします。
ただし、母材と同じような金属同士だからこそ、強く接合できるので、
金には金ろう、銀には銀ろうを使います。
現在はメーカーが非常に品質の高いろう材を製造しています。
融点や色調も安定しており、作品の品質も均一になりますので、
自作のろうを使う人はほとんどいらっしゃらないでしょう。
ろうの実験だけでも、いまでは貴重な地金を使いますしね。^^
教室でも、市販のろう材を使用しています。
これは決して「昔より簡単になった」という意味ではなく、材料の品質が進歩したということ。
その分、私たちはろう付けという接合技術そのものを磨くことに集中できるようになりました。
「ろうがなぜ流れるのか」「どこへ火を当てるのか」「温度をどうコントロールするのか」は、
やはり経験と知識が必要な技術です。
ろう付けが苦手な方は、炎ではなく「地金の色」を見る練習をしてみてください。
上手な人は炎よりも、金属の温度変化を見ながら作業しています。
受講生さんは、教室で火を扱いながら実際に溶かして、ろう付けのコツを掴みましょう。
必要な方には講師が見本をみせたり、横でタイミングを教えます。
昔も今も、ろう付けは「金属を理解する技術」です。
道具が進化しても、職人が金属と向き合う時間は変わりません。
WEB講座受講生の方は、MK-08 ろう付けの基本 で、詳しく解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。
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