~ロウ付けと地金の溶解で活躍する白い粉~
当教室のろう付け台の上に、白い粉があります。
溶解をするときに、初めて説明することが多いのですが、これも金属加工では重要な役割をしている材料です。
ほう砂とは?
ほう砂は、四ホウ酸ナトリウムというホウ酸塩です。
夏休みの自由研究や課題で「スライム」を作ったことがある人には、聞き馴染みがあるかも。
市販のほう砂は、四ホウ酸ナトリウム十水和物として扱われるものが一般的です。
加熱すると結晶水が抜け、さらに高温になると溶融してガラス状の物質になります。
この性質が、金属加工でも活用されています。
「フラックス」とは?
フラックスは、特定の材料の名前ではありません。
金属の表面をきれいにしたり、酸化物を取り除いたり、溶融金属やろうがうまく流れるように助けたりする、補助材料の総称です。これにもほう砂が使われています。
なましやろう付けのとき、金属を加熱すると、空気中の酸素と結びついて酸化し「酸化膜」が出来ます。
酸化膜があると、ろうが金属表面になじみにくくなります。
そこでフラックスが、
酸化を抑える + できた酸化物を取り込む
ことで、ろうが金属表面になじみ、流れやすい状態を作ってくれます。
地金を溶かすときの「ほう砂」
地金を溶融するときにも、「ほう砂」を添加します。
溶けたほう砂は、金属酸化物や不純物を取り込んで、金属とは別の「かたまり」として分離してくれます。これを「スラグ」と呼びます。
金属の溶解・精錬では、ホウ酸塩が金属酸化物を取り込み、スラグを流動しやすくする働きもあります。
金属から分離された酸化物などは、フラックスとともにスラグとなって残ります。
ロウ付けと溶解、同じ「ほう砂」でも……
ロウ付けでは、接合面のため。
溶解では、溶融金属のため。
同じ「ほう砂」でも、ロウ付けと地金の溶解では、少し違った仕事をしています。
でも、その根っこにあるのは、
「金属の酸化物を扱いやすくして、金属が本来の仕事をしやすい状態にする」
ということ。
白い粉のように見える「ほう砂」は、実は金属加工を陰で支えている、頼もしい材料なのです。
取り扱いには注意しましょう
ほう砂は、適切に取り扱う必要のある化学物質です。
四ホウ酸ナトリウム十水和物(ホウ砂)は、GHS分類で皮膚刺激、強い眼刺激、生殖能または胎児への悪影響のおそれ、反復ばく露による呼吸器・神経系への障害などが示されています。
粉末を吸い込まない、目や皮膚に触れない、保護手袋や保護眼鏡を使用するなど、製品の表示やSDSに従って安全に取り扱いましょう。
過去に「酸化膜とフラックス」についての記事を上げていますので、そちらも合わせてご覧ください。
酸化膜とフラックス(月曜定期便67)
https://www.craftroom.jp/2026/04/27/mon67/
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