作家と職人 (月曜定期便90)

この二つの違いってなんでしょう。

いちばん大きな違いは「何を軸にものづくりをしているか」という所だと思います。

職人とは

「高い精度で、安定した仕事ができる」のが職人。

  • 素材や道具、技法を深く追求する
  • 同じ品質のものを安定して作れる
  • 長年の経験によって、手や目で判断できる
  • 「どう作るか」「どう仕上げるか」に強い
  • 伝統技法や専門技術を継承する役割もある

「この厚みならこの火加減」「このロウならこの温度」「この面はこのヤスリで」みたいな、身体に染み込んだ技術を伝えることができます。

クラフト作家とは

「表現」や「作品」を軸にものを作る人。

  • 自分の世界観やテーマを持っている
  • 素材や技法を組み合わせて表現する
  • 一点ものや少量制作も多い
  • 「何を表現したいか」「どんな作品にしたいか」が出発点
  • 作り手自身の個性や思想も作品の価値になる

極端に言えば、

職人は「技術から作品へ」
クラフト作家は「表現から技術へ」

もちろん、これは職人と作家をきっぱり二つに分ける定義ではなく
ものづくりの「出発点」の違いとして考えると分かりやすいと思っています。

優れた職人は作家性を持つし、
優れたクラフト作家は職人的な技術を持っていることでしょう。

だから境界線はかなり曖昧な部分も多いし
ちょっと極端な言い方をすれば、

職人は「技術に名前がつき」、作家は「作品に名前がつく」という考え方もできる。

「同じものを高い精度で作れる」のが職人。
例えばシンプルな甲丸リング、印台リング、複雑な千本透かしや石留め・彫留め。

「この人だから、この作品になる」ことに価値を置くのが作家。

クラフトルームHAKATAは、講師が「職人側」だから

  • 素材の扱い方
  • 道具の使い方
  • 加工の正確さ
  • 強度や仕上げ
  • 「なぜこうするのか」という技術的な判断

を教えることができます。

一方、教室では、受講生さんが「作家側」の視点を持つことを大切にしています。

  • 何を作りたいか
  • どんな世界観にするか
  • 素材をどう組み合わせるか
  • 自分らしいデザインにするか

を自ら考えることを推奨しています

講師=「どう作るか」を教える
受講生=「何を作るか」を考える

という関係です。

職人の技術を、そのまま職人になるためだけに教えるのではなく、
作家が自分の表現を実現するための技術として学ぶ。

だから、教室では「先生と同じものを作れるようになる」ことを目標とする必要はありません。

受講生さんが「こんなものを作りたい」と考えたときに、
それを実現するための技術を一緒に考える。

そうすると、職人の技術が作家の表現を広げる道具になる。

職人と作家が混ざり合う場所っていうのが、教室の魅力だと思っています。

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