装身具と宝石(月曜定期便52)

宝石が人に与えるもの、作り手が考えていること

宝石には、不思議な力があると言われることがあります。
身につけると元気が出る、守られている気がする、背中を押してもらえる——
科学的に証明できるかどうかは別として、そう感じた経験のある方も多いのではないでしょうか。

人は昔から、宝石に「意味」を託してきました。

宝石に込められてきた願い

たとえば誕生石。
誕生月ごとに石が決められているこの文化は、占星術や宗教観がルーツになっています。
「この石はあなたを守る」「この石は幸運をもたらす」
そうした考え方は、今でも贈り物やお守りとして受け継がれています。

また、歴史をさかのぼると、宝石は呪術や宗教儀式、王権の象徴として使われてきました。
色の美しさ、希少性、簡単には壊れない硬さ。
それらは「永遠」「神聖」「力」の象徴だったのです。

宝石は、単なるきれいな石ではなく、
人の願いや祈りを受け止める存在だったと言えるかもしれません。

現代の宝石は「身につけるもの」

時代が進み、宝石は特別な儀式のためのものから、
日常の装身具として使われるようになりました。

今では、
・誕生石を自分らしさの象徴として
・節目の記念として
・気分を上げるためのお守りとして
宝石を選ぶ方が増えています。

意味を大切にしながら、
「身につけて楽しむ」ことが当たり前になったのが、現代の宝石の姿です。

作り手として、もう一つ大切な視点

どんなに意味のある宝石でも、
身につけられなければ装身具にはならないということです。

指輪やブレスレットのように日常的に使うジュエリーでは、
・硬さ
・割れやすさ
・欠けやすさ
・摩耗しやすさ
といった点を考る必要があります。

美しい石、意味のある石であっても、
使い方やデザインによっては壊れてしまうことがあります。

意味を大切にしながら、素材として向き合う

宝石が人に与える影響は、確かに存在します。
でも作り手は、その石を「どう身につけ、どう長く使ってもらうか」まで考える立場です。

宝石の意味や物語を尊重しながら、
その石に合った形や用途を選ぶこと。

宝石の力を信じることと、
素材として冷静に扱うことは、決して矛盾しません。

その両方を大切にできたとき、
身につける方の「想い」と「日常」をつなぐ存在になるのだと思います。

宝石の耐久性は、
「硬い・柔らかい」といった一つの指標だけで判断できるものではありません。

硬度だけでなく、
割れやすさや欠けやすさ、内部構造、
そしてどんな形で、どんな使われ方をするのか——
いくつもの性質が重なり合って、
その宝石の「扱いやすさ」が決まります。

さらに、そこに加わるのが作り手の経験です。
同じ石でも、
「この留め方なら安心」
「この厚みなら大丈夫」
と感じられるかどうかは、実際に作ってきた中で身についていくものです。

だからこそ、
宝石を「強い・弱い」で決めつけすぎず、
小さな作品や実験的なデザインからでも、
ぜひ色々な石に挑戦してみてください。

石を割ってしまうことも、ショックもありますが、
長く続けていくためには必要な経験となります。

石の個性を知り、向き合う時間そのものが、
装身具づくりの引き出しを増やしてくれるはずです。

鉱物は脆いもの

ミネラルブームで、より身近になっている宝石もあります。
原石のまま流通している「宝石」は、
名前は「宝石名」ではあっても、研磨して整える部分がない場合や
ビーズとして整えられているものがあり、
研磨された宝石とは加工の扱いが違います。
原石のままアクセサリーに仕立てる場合は、
制作や石留めの勝手が違うことを覚えておいてください。

参考として

日本の「誕生石」は、2021年12月20日に改訂がおこなわれました。

日本ジュエリー協会に、PDFで一覧が公開されていますので、リンクを貼らせていただきます。

https://jja.ne.jp/lib/aboutjewellery/pdf/birthstones2.pdf

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