手を動かすと“見る目”が変わる——ジュエリーデザインの入口
ジュエリーを作ってみたいと思っても、
「デザインができない」「絵が苦手」と感じて一歩を踏み出せない方は多いものです。
でも、デザインの基本は“上手に描くこと”ではありません。
手を動かして、ものをよく見ること。
その小さな積み重ねが、少しずつ「デザインの目」を育ててくれます。
■ジュエリーデザインは「形を見る力」から
たとえば、身近な指輪をひとつ観察してみましょう。
輪の厚みはどうなっているでしょう?
表面は丸みを帯びていますか?それとも平ら?
石が留まっている場合は、爪の数や角度も見てみます。
普段は意識しない細部にも、デザインのヒントがたくさん隠れています。
観察するうちに、「この形は指にどう沿っているのだろう」「この厚みだと重さはどうかな」など、
“作る目線”が自然と育っていくのです。
■「描くこと」は“考えること”
スケッチをするときは、いきなり美しい絵を描こうとしなくて大丈夫。
大切なのは、“形を理解するために描く”という意識です。
たとえば、
指輪の輪郭を一筆で描いてみる
ペンダントトップを真上と横から描いてみる
石の形(オーバル・マーキス・スクエアなど)を描き分けてみる
ラフスケッチは線が曲がっていても問題ありません。
描くことで「この曲線はどこで始まり、どこで終わっているのか」
「立体の中でこの面はどのくらい傾いているのか」が見えてきます。
ジュエリーデザインのスケッチは、手で考える作業なのです。
■観察からデザインへ——形を少し変えてみる
観察とスケッチに慣れてきたら、ほんの少し形を変えてみましょう。
たとえば、観察した指輪のアームを細くしてみる、
石を違う形に変えてみる、
金属部分に模様を入れてみる——そんな小さな変化で構いません。
「もしこの部分を丸くしたら、柔らかい印象になりそう」
「真っ直ぐにしたらシャープでモダンかも」
そんな想像の広がりが、デザインの芽になります。
■素材を“見る”練習もデザインの一部
金属や石も、観察の対象としてとても面白い存在です。
シルバーは光を柔らかく反射し、
真鍮は少し赤みを帯びてあたたかく、
石は光の角度で印象を変えます。
こうした質感の違いを見比べることは、
「どんな素材を使うと、どんな印象になるか」を学ぶ絶好の練習。
素材そのものを“観察のモチーフ”にしてみてください。
■毎日じゃなくてもいい、「観察メモ」から始めよう
スケッチブックを持つのが難しいときは、
スマートフォンのメモに「今日の発見」を一言書くだけでも十分です。
「雨の日の銀の輝きがやさしい」
「古い指輪のカーブが手に馴染む形をしていた」
「ガラス越しの石が、水の中みたいに見えた」
そんな小さな気づきが、後のアイデアの種になります。
■デザインは、観察から生まれる
手を動かして描くこと。
素材を見つめて考えること。
そのどちらも、ジュエリーを“つくる”ための大切な準備です。
上手に描けなくても
見て、触って、感じたことを少しずつ形にしていくうちに、
あなたの中の「デザインの目」は確かに育っていきます。
手を動かすと、“見る目”が変わります。
そしてその目が育つと、日常の中にもデザインのヒントが見えてくるのです。
ジュエリーデザインをまとめる方法(月曜定期便9)も参考にどうぞ
 https://www.craftroom.jp/2025/03/03/mon9/
      
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