金属が「柔らかい?」展性について(月曜定期便59)

作り手はよく金属に対して「柔らかい」、「硬い」と表現します。

制作の現場で体感している柔らかさとは、どれだけ広がるか、どれだけ伸びるか
ということで、それは「展性(てんせい)」といいます。


展性とは

叩いたときに割れずに、薄く広がる性質 のこと。

金属ならではの性質です。

たとえば、金は金属の中でも特に展性が高い素材で
1gの金は、畳一畳分近くまで薄く延ばせると言われています。
(=金箔)

石と金属の決定的な違いは、
石は、曲がらない。伸びない。割れる。
金属は、伸びる。締まる。包める。

爪留めができるのも
指輪を叩き締められるのも
覆輪がきれいに巻けるのも

すべて金属に「展性」があるからです。


金属は、展性が高いゆえに

  • 叩きすぎると薄くなりすぎる
  • 引き延ばすと強度が落ちる
  • 加工硬化が起きる

だから焼きなましをして、加工硬化をリセットする必要があります。

そうするとまた柔らかくなり、加工しやすくなります。

制作の現場でいう柔らかさとは、壊れずに変形できる力といえます。


やってみよう!

貴金属加工の授業では、
地金板や角棒を繰り返し焼いたり延ばしたり、叩いたりしながら実感します。

金属材料を叩くと

叩き始めは素直に広がるのに、
途中から急に“跳ね返すような感触”になる。

これが加工硬化。

「柔らかい」と感じていた金属が、
突然“硬く”なる瞬間を感じることができるのです。


同じ叩き方を、
石やガラス片でやってみたらどうなるでしょう。

きっと割れますよね ^^

この違いが、

  • 石は「硬いけれど展性がない」
  • 金属は「キズはつくが展性がある」

という構造を理解させてくれます。


柔らかさとは、制御できる変形

ジュエリー制作における柔らかさとは、
制御できる範囲で変形してくれること

叩けば締まり、
焼けば戻り、
また形を変えられる。

この循環があるからこそ、貴金属はジュエリーの素材として選ばれ続けています。

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