鉱物学と宝石学のちがい(月曜定期便53)

―「石を見る視点」が違う学問―

「鉱物学」と「宝石学」は、どちらも石を扱う学問ですが、
石を見る目的と立場が少し違います。

簡単に言うと、

鉱物学:地球の一部として石を見る
宝石学:装身具として石を見る

そんな違いがあります。

鉱物学とは?

鉱物学は、地球科学(理科)の分野です。

岩石や鉱物が

どんな成分でできているのか
どんな環境で生まれたのか
結晶の形や構造はどうなっているか

といったことを調べます。

たとえば「水晶」を見るときも、

二酸化ケイ素(SiO₂)でできている
高温の地下で結晶化した
六角柱の結晶構造をもつ

といったように、自然現象としての性質に注目します。

割れていても、濁っていても、
「それがどうしてそうなったのか」が大切なのが鉱物学です。

宝石学とは?

宝石学は、宝石として石を正しく扱うために発展した学問です。
特に、人の手によってつくられた合成宝石や人造石と、
天然の宝石を見分ける必要が生じたことから、学問として体系化されました。

たとえば、
パッと見、わかりにくいものの代表として合成ルビーや、養殖真珠などがあります。
琥珀とプラスチック、張り合わせの宝石も見分けが難しいです。

これらは見た目がとてもよく似ていて分かりにくいので、正しい知識と見る経験が必要になります。

また、宝石と呼ばれる石であっても、すべてが同じ品質で扱われるわけではありません。

透明度や色、耐久性が高く、ジュエリーとして安心して使えるもの
少し傷が多かったり、色むらがあったりするもの
さらに、形や大きさをそろえて、ビーズとして使われるものもあります。

根本的なところは鉱物学が必要で、
より深くなると「見分け」つまり違いを見つけることを宝石学で学び、
それを装身具に生かします。

同じ石でも、見方が違う

鉱物学と宝石学の面白いところは、
同じ石でも評価の基準が違うことです。

たとえば、

鉱物学では貴重な研究対象でも
宝石学ではジュエリーに向かない

ということもありますし、その逆もあります。

つまり、

鉱物学:石そのものを理解するための学問
宝石学:石を美しく、安全に使うための学問

と考えると分かりやすいでしょう。

ジュエリーに関わる人、ジュエリー制作や販売に関わる人は、
宝石学が実用の中心になります。

ただし、鉱物学の知識があると、

石の個性を理解できる
なぜ割れやすいのかが分かる
自然が生んだ背景まで伝えられる

といった、より深い見方ができるようになります。

これらの違いを知ったあとで、
価値の見極め方を学ぶ方向へと進んでいくと、より理解が深まることでしょう。
とにかく広範囲な学問なので、宝石のことが知りたいと思ったら、
手近な本から読み始めてみてください。

その時、石の「効能」といわれるものから始めると
それはまた違った分野へ行ってしまいますのでご注意を。^^


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