なぜジュエリーは高価なのか— 素材と技術から考える
制作者としては、この違いを理解し説明できることが大切です。
- 素材の価値
ジュエリーの素材は、貴金属と宝石です。
金(ゴールド)や白金(プラチナ)、銀(シルバー)は、世界的に取引される希少資源。
純度や重量で価格が決まり、市場相場によって日々変動します。
宝石も同様に、色・透明度・カット・重量などで評価され、希少性の高いものほど価値が上がります。
また、貴金属や天然宝石は一部の宝石を除いて経年変化が少なく、長期間その価値を保つのも特徴です。
- 技術と工程
ジュエリー制作は、多くの場合手作業を伴います。
デザイン、原型制作、鋳造、ロウ付け(溶接)、石留め、研磨──それぞれに高度な技術と経験が必要とされ、携わる職人は鍛錬の日々です。
石留めひとつ取っても、爪の高さや厚みの調整、石を割らないため、そして留めるための地金の締まり具合など、見えない部分に技術が詰まっています。いま、頑張っている皆さんは、お解りですね。^^
この積み重ねが、長く使える耐久性と、美しい仕上がりを生みます。
- 耐久性とメンテナンス性
ジュエリーは修理やサイズ直し、磨き直しが可能な構造で作られます。
それは「長く使い続けること」を前提にしているからです。
これらが、ジュエリーが高価な理由となります。
地金価格の高騰など社会的な情勢も加わり、
安価なジュエリーを提供するために努力がなされていますが、代表的なのは以下のベスト3
- 地金の量や純度を下げる
厚みを減らし、軽くすることで地金代を削減。(ただし強度は落ち、変形や破損のリスクが増す。)
K18からK10まで純度をさげたライトジュエリーが増えました。 - 石の種類・品質の拡大
天然石に見えるけれど実は合成石やガラス・樹脂など、エシカルなものを使用。
天然でも希少性のある高級嗜好から鉱物などのナチュラル嗜好まで広範囲に拡大。 - 工程の省略
複製可能な工程を採用する。単純な作りにする。磨きの工程を減らす、細部の仕上げを簡略化するなど。
◆制作者としては、価格を抑える工夫と品質維持のバランスをどう取るか。
「どこを、何を削減するのか」「どこを大切にするか」を決めるのが重要です。
◆低価格化のリスクとして、「修理不可」のジュエリーが増えていることも特筆すべき点でしょう。
例として
「ふくりん留めリング」サイズ直し不可
「中空地金素材」凹みの修理不可
「華奢なチェーン」ロウ付け修理不可
品物により修理が可能な場合もありますが、修理代は品物のわりに高額になります。
作り上げるまでが仕事なのか、その先のメンテナンスまでも仕事として捉えるか。
考えられる先のことは、作り手として予測しておく必要がありますね。
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